水如き

●うちは元々眉唾物として知ろうとも思っていなかったんですけど、ちょっとざわざわしていたので水素水について少し調べたりはしていた。しかしこれはなんていうか......凄まじいものを感じるな。
1)H6O......?共有結合の他に水素結合や配位結合、sp3混成軌道とか考慮して考えてみた。まぁ、存在は否定出来ないかも知れないけど、安定はしないだろうなぁと。
2)生体内でH2Oと水素イオンに分離......?それを主眼に据えるならH6Oなんていうものを前提にする必要は無いのでは。実際、水素イオンを意図的に増量する機材というのは普通にあるらしいし。
3)放射線で損傷したDNAの水素結合を水素イオンがリペア......?これは「水素結合」を根本的に理解してないんだろうなぁ。水素結合っていうのは、分子内或いは分子間の「水素」と「酸素」が引き合うもので、有機物質の立体構造を形成する要素の一つなんですが、「水素イオンが媒介する結合」では断じてありません。DNAは構成するヌクレオチド分子内に「アデニン(A)」「チミン(T)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」という構造のいずれかを持っていて、「A⇔T」「G⇔C」という決まった組み合わせで水素結合を形成しています。つまり、放射線なんかで水素結合が成立しないっていうのは、ヌクレオチド分子そのものが何らかの異常を示しているという事。それをたかだか水素イオンでどうこう出来る訳が無い。
4)テロメア補修......?それが出来たらノーベル賞貰えます。そんなせこせこ人を騙す必要無いですよ。本当だったらそれを「正当な研究成果」として特許取れるし、もっと儲かります。
とどのつまり。素人は科学的根拠に乏しいモノには手を出すな。メーカが提示するのは「科学的根拠」ではなく、「売り文句」に過ぎない。
補足:「水素水」そのものの生化学的研究はつい最近始まったばかりの分野で、エビデンスは少ないものの、ある程度の効果が見られるという研究もぽつぽつ出始めている。ただし、未だに薬品のような大規模かつ理論的な系統立ては未成立なのです。まぁ、一酸化窒素のように、「こんなシンプルな低分子にそんな凄い生理学活性が!?」という大発見も実際にあった話なので、今後どうなるかは分りませんけどね。
ちょっとついでに引用しました。こないだも確か乳酸菌鍋だかの話で書きましたが、乳酸菌に「何を求めるか」次第なのよね。お酒みたいに、菌の「産生した物が目的」なら菌は生きている必要は無いし(日本酒で、コウジカビが生きていようがいまいが全く評価外という意味)、乳酸菌そのものの働きを必要とするなら生菌である必要がある(ビオフェルミンとかヨーグルトとかね)という事。ただ、乳酸菌って胃酸に弱いので、生きたまま腸まで届けるのは何気に至難の業なんよね。
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●「科学的に」という謳い文句は科学知識が無い輩には絶大なる信頼感を与えるが、同業者からすると「こいつなに言ってんの」であるからな。そういう意味でその比喩は言い得て妙かも知れぬ。

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このページは、九石はくねが2016年3月 9日 23:39に書いたブログ記事です。

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