コミカ・アーカヰヴ'07Mar#1
今月買った漫画-ジャンプ編。
ギャグマンガ日和#8/増田こうすけ
オルタナ系ギャグ漫画ももはや8巻。売りである「異常系キャラクタ複数vsまとも人間の突っ込み一人」という構図はそのままに、様々なシチュエーションを毎回用意してくる引き出しの多さは評価できる。こういうオムニバス形式にありがちな事ではあるが、今回も恒例で「聖徳太子モノ」「松尾芭蕉モノ」は本巻にも収録されている。絵は相変わらず「うーん…」という感じなんですが(月刊誌で8巻なのだからもう少し絵が上手くなってもよさそうなものなのだが…)、逆にその拙い感じの絵でクセのあるギャグを上手くいなしている、と考えた方がよいのだろうか。これから手を出す人は、1巻辺りをとりあえず読んでみてから以降を読むかどうか決めたほうが良し。合わない人にはどうやっても合わない芸風なので。個人的に残念だったのは、本作でもかなり好きなほうの「うさみちゃん」シリーズが収録されてなかった事。
魔人探偵脳噛ネウロ#10/松井優征
ネウロもとうとう大台の10巻に。内容としては「電人HAL」編大詰め。電人HAL編はネウロでも二度目の大きいヤマであり、話としてもかなり良い。絵は相変わらず独特の雰囲気ではあるが、連載当初に比べるとかなり上達しており、結果としてセンスが突出する理想的な感じになってきている。「探偵」とつくが、基本的に「謎解き」は一般で言う「本格ミステリ」などから考えると如何にもジャンプ的(というか、少年漫画的)な破天荒な解決が多い(「コナン」が正統派であるのに対し、かなりの変化球と考えた方がいい)。魔界666ツ道具など、主人公・ネウロの「魔人」たる能力が謎解きに寄与するも、完全道具依存でないポイントは高く評価できる。そして、今迄「傀儡の探偵」でしかなかった弥子は、今回の「HAL」の謎の一つ、パスワードの解明を達成するなど、探偵としての成長を見せる(そして、結果としてネウロに解明出来ないような「謎」を、人間としての視野から解明出来る、独立した「探偵」へと成長する)。キャラも皆クセがあり、異様である。本巻のカヴァーを飾る篚口の歪んだ人生など、元ネトゲジャンキーとしては正直心が痛む。ただ、こんな感じに「同情の余地がある」犯人という図式は「ネウロ」作中では逆に異例で、殆どの犯人には情状酌量の余地が無い「悪」である。個人的に犯人がやむにやまれず犯罪を起こし、最後に改心するという流れのミステリに食傷気味なので、こういうスカッとした展開は心地よい。今後もジャンプの看板にはなれなそうだが、地味に面白い傑作。今後も地味に継続して欲しい。余談ではあるが、本作の特に突出しているポイントは「ギャグセンス」。前述の「増田こうすけ」とは異なり、また独特のセンスから織り成される切れのいいギャグは最高(笑)
スティール・ボール・ラン#11/荒木飛呂彦
「音」のスタンド能力に急襲されるジャイロとジョニィ。窮地に立たされたジャイロは、ジョニィに「黄金率の回転」を伝授する――本作は事実上「ジョジョの奇妙な冒険」の第七部としての位置づけでありながら、「スタンド」という概念「のみ」を引き継いでいる。「スタンド」が第三部から導入され、第六部"ストーンオーシャン"に至るまで、スタンド能力の謎解き、駆け引きというスタイルを継続したものの、最終的には「オラオラ」など、スタンド自体によるガチンコでの決着という形が殆どであった。本作では「スタンド像」自体がそれほど描写されず、飽くまでスタンド能力のみでのバトルという形式を貫いている。邪推だが、本作当初に出てきた「ミセス・ロビンスン(眼窩に虫を飼い、それを用いて戦う)」や、主人公ジャイロの「鉄球」などから考えるに、本作では「スタンドへの決別」を意識して始めたのでは?と思われる(別の言い方をすると、「ストーンオーシャン」の頃からスタンドによるガチンコバトルへの決別をしたがっている感じはあった。「ストーン・フリー」や「キッス」など、メインメンバーのスタンドが当初スタンド像を伴わず、「糸」や「シール」など、単なる特殊能力として描写されていたのがそう思う切欠だった)。その方向性が合致しなかった為か、連載は週刊少年ジャンプからプラットフォームをウルトラジャンプに移籍し、結果としてその主義を貫き、結果として成功している。能力中心のバトルとし、結果として「殴り合い」というプリミティヴなバトル展開が排除され、読み応えが非常に上がっている。ストーリとしても、「遺体となった聖人とはもしや」「ホットパンツは結局何を目論む?」「耳はどうやれば使い切れるのか?」など、次への「引き」も怠らない。結果としてファンとしては次の話への渇望を訴えずにはいられない。ジョジョとは切り離して、一個の作品として完成している作品。
テニスの王子様#37/許斐 剛
改めて云って置く。「本作は正当なるジャンプスポーツ漫画である」。本巻では「お笑いテニス」とか称してふざけた対戦に持ち込む奴とか、打ち返したボールで観客席上段まで吹き飛ばされるとか、ぶっちゃけ全部が「お笑いテニス」である(逆に、「お笑いテニス」は単にふざけてるようにしか思えず、正直寒い)。そんな荒唐無稽破天荒な展開により、「ジャンプ一番のギャグ漫画」との書評をよく見る。しかし、よく考えて欲しい。今迄ジャンプでヒットしたスポーツ漫画で、そんな要素が欠片も無い作品があっただろうか?少なくとも私にはスラダンくらいしか浮かばなかった。そう、こういう「有り得ない」阿呆な展開目白押し、それこそ伝統ある「ジャンプスポーツ漫画」、と私は主張するのです。それが面白いかどうかは別問題として(笑)まぁ、内容は兎も角として、きっちり「王道」は歩んでいるのですよ。ただ、絵に関しては、どこかで見た「みんな爬虫類の目」というのには同意。腐女子向けなのは解らないでもないけど、どいつも美男子とは云えないよなぁ。人気投票の跡部の人気も解らん。只の自己中じゃん(笑)あとは、許斐先生が今の展開を解っていてやってるのか、それとも勘違いして本気でやっているのか、で今後頑張れるかどうかが大幅に違ってくると思いますが…
コメント
>個人的に犯人がやむにやまれず犯罪を起こし、
最後に改心するという流れのミステリに食傷気味なので、
こういうスカッとした展開は心地よい。
作者さんもそう思っておられるようで、
最近本誌で上に引用したはくねさんの言とほぼ同じことを述べ
やっぱ悪といえば絶対悪でしょ!
と熱弁されていました(笑。
あと跡部の王子様をバカにしないで><
投稿者: 拍手の人 | 2007年03月16日 18:56
>拍手の人さま
ネウロのここ数週の内容から、作者の松井先生も
同様の考えであろう事は
なんとなく思っていましたが。
「悪いことはどうやっても悪い」
という大前提を誤魔化す様な
偽善ぶったストーリは私も嫌いです。
>跡部の王子様をバカにしないで><
うーん、馬鹿にはしてないデスよ?
それでも面白いのでコミックス
買ってる訳ですしね。
ただ、跡部にそこまでの魅力が
あるかなぁ?と思ったもので。
(私的意見ですが、私なら唯我独尊な
跡部より、手塚部長の方が
カッコイイと思うんですけどね)
ちなみに私がいちばん好きな
テニプリキャラは樺地くんです。
これ云うとみんな引くんですがー。
なんでー樺地くんかわいいやんっ。
…逆に言うと跡部派からすると
うちの文言のほうが意味不明なんだろうけど(笑)
投稿者: はくね | 2007年03月16日 19:22
僕は乾派です!
まあ作者はわかってやってるんだと・・・信じたい・・・が、コミックスのカバー折り返しのコメント見てるとワリとマジっぽそうなのがなんとも
投稿者: やましん | 2007年03月19日 00:06
>やましーん
カバー折り返しは実は全く読んでません。
なんか凄い勘違いをしているような
雰囲気はあるんですが。なんで毎回手書きなんだろう。
投稿者: はくね | 2007年03月19日 07:21