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流行最先端-のろとふる-

さて、今シーズンも冬場本番という事で注目の病気を説明してみます。たまには本職らしい事書かないとね。

☆ノロウィルス
最近よく聞く名前だと思いますがそれもそのはず。このウィルス名がつけられたのは21世紀に入ってからだからです。つまり、当然の如く昔から病原として存在します。「カキに当たる」原因もこのノロウィルス。
■主な症状
基本的に消化器症状メイン。下痢が顕著で、その他腹痛、嘔吐、気持ち悪さなどが付随します。致死的な症状ではありませんが、抵抗力の弱い老齢の方では死に至る事もあります。
■感染経路
はっきりしない部分もありますが、排泄物など感染者から出るものを媒介するという話です。空気感染・飛沫感染(咳などによる飛散した唾液など)も疑われています。前述の通り汚染された食品(カキなど)も感染源となります(ただし、加熱により失活するので、生で食べなければ大丈夫)。
■診断法
排泄物の電子顕微鏡による目視や、キットによる検出が主ですが、現段階で迅速な検出用キットは医療用用途への使用が認められていません。基本的には症状から類推するしかないと言ってもいいでしょう。
■治療法
現段階でウィルス自体に有効な薬品はありません。対症療法として整腸剤、下痢止め、胃腸薬などで症状を散らしていきます。下痢による脱水症状を防ぐ為にもこまめに水分を摂取するようにしましょう(電解質補給の為にスポーツドリンクなどがベター)。
■予防法
体調を維持すること。外出時には手洗いとうがいは必ずする事。うがい薬や石鹸、ハンドソープでウィルスを失活する事は出来ませんが、リスクはかなり軽減できます。

☆インフルエンザ
そろそろ発生し始めている流行病。毎年12月過ぎから流行するウィルス性疾患です。
■主な症状
風邪と混同しがちですが、「急激に高熱(38℃以上)が発生する」「関節・喉などの痛み」を併発します。その他は風邪に近いので、上記の二つのポイントいずれかが出るようならインフルエンザを疑いましょう。
■感染経路
空気感染。感染者の呼気などから感染します。
■診断方法
技術の進歩により、30分程度で検出可能なキットが普及しています。ただし、A型、B型のみで、C型に関しては未対応。
■治療法
根本治療としてインフルエンザウィルスの増殖を抑える薬品が発売されています(飽くまでも「増殖抑制」であり「殺ウィルス」ではない点に注意)。内服薬としては「タミフル」(カプセル、ドライシロイップ)があります。条件として発症より48時間以内に服用しないと効果が薄いですが、きちんと服用すれば罹患期間及び症状がかなり軽減されます(一般的に罹患期間は1週間程度とされますが、きちんと服用できれば3日程度で症状は引くようです)。また、吸入パウダー薬には「リレンザ」があります。今年から小児への保険適用もなされ、用途は広がりそうです(ただ、性質上使い方が面倒なのが難点)。付随する諸症状自体を改善する効果はいずれも無いので(飽くまで根本を叩くだけ)、同時に風邪と同じように対症的に薬品を使用します(例:咳止め、解熱剤、鎮痛剤など)。
■予防法
体調を維持すること。抵抗力が落ちると感染し易くなります。手洗い、うがいも欠かさずに。外出時はマスク(特にウィルスをガードできるもの)を着用すること。また、ワクチンによる予防も可能。ただし、ワクチンは毎年流行すると思われる種を「予測して」作成するものなので、外れたら効果はありません。また、インフルエンザウィルスは簡単にモデルチェンジするので、接種は毎年行う必要があります(ただし、卵アレルギーを持つ人は接種できない恐れあり)。前述の内服薬「タミフル」は予防目的でも使用可能ですが、その場合保険適用が出来ないので自費診療となります。

はい、流行違いですね。

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コメント

うちの職場では隣の棟で職員と利用者合わせて25人の大流行でした^^;
幸い大事には至らず自分の担当では発症しなくて良かったです。

そういや、今年の初めに家族全員タミフルのお世話になったなぁ・・・

来年はお世話になりたくはないものだw

>くろさん
ノロは今話題になってますものね…今専用の薬が出たら大ヒット商品になるのでしょうけど、前述の通り発覚が最近のウィルスなので治験とか含めてもずいぶん先になりそうですね。
>すすむさん
タミフルはちゃんと服用できればこれほど強力な薬もないですしねぇ。まぁ罹患しないのが一番ですが、努力しても感染するときは感染しますからねぇ(・x・

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