古本デヰズ4-1
私は古本屋が好きです。目的のものがなくてもついついぐるーっと眺めてしまう。そして掘り出し物がある度大量に買い込んでしまいます。今回はここ最近に購入したものの一部を。一応読了しているものを書くので、まだまだ在庫があったり。それはそれで追々のっけていきます。
一球さん/水島新司
言わずと知れた野球漫画の大家、水島新司の作品。水島野球漫画は何を置いても「ドカベン」がメジャーですが、氏の作品で「ドカベン」の様に「多数のヒーロー」が一チームに揃っているケースは実は珍しい。プロ野球を題材にしている漫画(「野球狂の詩」や「ストッパー」など)では同じチームに多彩な魅力を秘めた選手が揃っているケースはあるけれど、高校野球をテーマにした漫画では、ほとんどが「ワンマンチーム物」なのである。「球道くん」然り、「おはようKジロー」然り、「極道くん」然り。同様に「一球さん」もある意味ワンマンチーム物なのですが、他の作品と一線を画している点は、主人公、真田一球が超人的な身体能力を持ちながらも「野球の素人」である点。全話を通じて、一球がストレートの握りを知ったのが半分以上経過してからという体たらく。しかしそれながらも、一球は斬新な観点からの野球を展開し、最終的には前年甲子園レギュラーをすべて除名した上で、監督兼任で巨人学園を甲子園に導く。割と破天荒な展開がままある水島野球漫画に於いても、かなりその割合が大きい漫画。異質でありながらそこが面白い。余談ではあるが、水島高校野球漫画の集大成「大甲子園」では、ドカベンらの明訓高校と甲子園で対戦する一球率いる巨人学園だが、その際は「影武者作戦」としてナイン全員が明訓ナインを摸写して戦うなどというトリッキーな存在として描かれています。
究極超人あ~る/ゆうきまさみ
たった9巻の作品なのにも関らず、未だに方々で語られるギャグ漫画。端的に言ってしまえば、主人公のアンドロイド、R・田中一郎となんだかよく解らない部活動「光画部」の面々が巻き起こす騒動モノ。なんとなく雰囲気が「奇面組」に似てると思うのは私だけでしょうか。実はこの「光画部」には妙な親近感を覚えます。何故かと言うと、私が高校時代在籍していた部がけっこう似てるのです。本来はアマチュア無線の部なのですが(従って私もアマチュア無線技師の免許をもっておりました。過去形なのは免許紛失してしまった為)、部内には放送設備、当時は今ほどポピュラーじゃなかったPC(ジャンクまで含めれば相当数ありました)、各種ゲーム機、柔道着、竹刀、マシンガンの薬莢、様々な物が混沌と混ざった怪しいペットボトル等等、なんでもありな部だったのです。一説にはうちの部のバイブルがこの「あ~る」だったという話も。いい意味でも悪い意味でも伝説だった我が部。今はどうなっているのやら。
多重人格探偵サイコ(講談社ノベルズ版)/大塚英志
現在エースで連載中のコミック「多重人格探偵サイコ」のノベライズ版。リリース的には「雨宮一彦の帰還」が最初のリリースですが、後の二冊はそれより前に角川スニーカー文庫でリリースされた物の改訂版なので、時系列としては「雨宮~」が最後。内容としては改訂版が主にコミックで飛ばされている「小林洋介(というより雨宮一彦と言うべきか)」の服役中のエピソードとなっており、「雨宮~」はコミックスの「フラワーチルドレン」編までのパラレルワールド的な展開。元ネタを知っているとやや齟齬が気になってしまいますが、「サイコ」ファンであれば読んで損は無い内容。
多重人格探偵サイコ・フェイク/大塚英志
実はテレビドラマ化されていた「サイコ」。これはテレビドラマのストーリのノベライズ。著者は許月珍となっておりますが大塚氏の変名でしょう。内容は矢張りコミック版のパラレルワールド的展開で、「西園伸二」と「ロリータ℃」という転移する人格が織り成す物語。これはこれだけで完結している話なので、コミックスとは別のスタンスで読んだ方がいいかも。あと、ちょっと気になるなぁっていうか、氏の文章はなんだか読みにくいです。句読点の打ち方が拙いというか…時折内容を読んでいるだけで混乱してしまったりしました。