マギカ・サングレ
■新本格魔法少女りすか3/西尾維新
ずいぶん前に読了したもののちょっとほったらかしでした。さて、文芸誌「ファウスト」への各連載の中でも当雑誌の「ウリ」として連載が始まった「真本格魔法少女りすか」、3巻発行。現在進行形で「刀語」が毎月リリース中とだけあって、流石に書き下ろしエピソードを入れるのはムリだったようです。本作には「ファウスト」5号、及び6AB号に掲載された三本が収録されております。世界観はかなり現日本に近いが、確定的に異なるものがある。「長崎県」である。県境には「城門」が建立され、その向こう側には「魔法使いの世界がある」。それが本作の「リアル」なのです。過去1巻・2巻において、供犠創貴とその駆る魔法使い「赤き時の魔女」水倉りすか、そして城門管理委員会から途中参入した繋場いたち-"ツナギ"が、りすかの父、「ニャルラトテップ」水倉神檎の使わした6人の「魔法使い」と対峙する。「箱舟計画」という「魔法使いの一つの"不可能"」を消し去る計画の為に、神檎はりすかを「育成するために」この刺客を使わしたのだが…一人目、「眼球倶楽部」人飼無縁をツナギが屠ったと思ったら、本巻冒頭でもツナギが地球木霙を倒して-食ってしまう。本来「りすか」の為に遣わされた刺客が、ツナギの強力なスキル、「あらゆる場所に口を作成し、片端から食らってエネルギーに取り込んでしまう」能力により討伐されてしまう。結果、それ以降の4人はやや「搦め手」として6人が一人「水倉鍵」を創貴に向ける――。当初このメンバは九州中を討伐の為に縦横無尽するつもりだったところ、地球木霙討伐直後、水倉鍵登場から他の4人が一気呵成に襲撃を駈ける。次々に巻き起こる不思議世界。そして最後は――地獄絵図だった。そこで本巻は次へ橋渡しとなる。所謂「魔女っ子」モノではあるが、「新本格」と謳う割には生々しい…いやむしろ、世間一般に蔓延している「魔女っ子」の認識がヌルいのであって、本作はそういう意味では「本格」である。りすかは己の「血液」に施された「魔法式」により「時間跳躍」能力を持つが、何らかのアクシデントで大流血を起こすと、それが発動し、りすかを10年跳躍させ、無敵の魔女となった「強力な力」で相手を討伐する。…というのが当初のテンプレだったのですが、どうにも最近そういうシナリオが希薄で、どうにもりすかの影が薄い。その面目躍如となったのが本巻収録の「vs"泥の底"蠅村召香」である。ここでりすかは己の能力をアップグレードする事になる。そして、それは「箱舟計画」に必須事項となるまでの魔法へ一歩踏み出して「しまった」。相変わらずキャラデザはいいんですが、カヴァーや挿絵の西村キヌ氏の絵が回を増すごとにリアルに…もうちょっと可愛い路線で行って欲しいもんなんですが(笑)まぁ、次巻は流石に刀語完結後かな?