漫画ラヰブラリ(揃え)8-1
ブラックジャックによろしく#13迄/佐藤 秀峰
所謂「医師ドラマ」モノは、基本的に「天才医師」が主人公であるケースが多いが、この作品の主人公・斉藤は研修医(インターン)である。その「研修医」という視点より、現代医療の問題点を提示していくのが本作。産婦人科、循環器科、癌、精神科…よく「職業の花形」と評される「医師」というものが孕む問題点のなんと多いことか。私も医療系の仕事をしておりますが、医師は医師で大変なのだなぁと。基本的に主人公は「研修医」なので、そのような問題点を「完全解決」できるはずもないのですが、彼は彼なりに、自分の立場も省みず、ひたすら患者の為に主張する。それが本来的に求められる医師のスタンスではあるとは思いますが、現状は果たして如何だろうか。立場、しがらみ、不文律…そこまで「突っ込んで」開拓する医師は、果たして現在の日本に一握ほどでもいるのであろうか。
xxxHOLiC#9迄/CLAMP
先日のエントリでノベル版を先行紹介致しましたが、原作はそれより少し前に買い揃えました。「見えるはずのないモノ=あやかし」を見る事が出来る少年・四月一日(ワタヌキ)と、「願いを叶える店」店主・侑子の物語。少年マガジン連載中の「ツバサ」とのリンクはあるものの、基本的に本作のみでも充分楽しめます。内容としては様々な「怪異」を巡る物語。元来トーンを多用する方ではないCLAMP作品ではあるが、本作はその怪しげな雰囲気を出すためにかなりコントラストを強調した作画となっており、そしてそれは成功している。「怪異」の物語ではあるものの、それ以外のパートのノリはかなり軽く、ストーリ自体のコントラストも明瞭で、軽く楽しめる作品。
ゴッドサイダーセカンド#9迄/巻来 功士
週間少年ジャンプに1987~1988の間連載された「ゴッドサイダー」の続編、というかパラレルワールド。大本の「ゴッドサイダー」は、当時としては珍しく、聖書や様々な神話を下敷きとしたかなり濃密なストーリの傑作であった(ジャンプコミックス全8巻という短期作品にも関わらず、愛蔵版が出ている辺りからその辺は窺い知ることが出来よう)。しかし、肝心の本作「セカンド」は正直な話イマイチな作品となってしまっている。初代でノータッチだったハイチや北欧の神話を引き合いに出した辺りは評価できるものの、第二部的扱いとなっている三代目キコクレイキの話のユルさはどうかと思う。近年様々な「二代目」漫画が台頭している中で、大抵は初代を越えることが出来てないものの、本作はそれが余りにも顕著だ。一応原作ファンの為今後も買い続けるとは思うが、果たしてこの後、巻き返すことができるのかどうか。