漫画ラヰブラリ4-1
今月期に購入した新書の漫画をずらずらーっと。
必殺山本るりこ/唐沢なをき
以前「がんばれみどりちゃん」が面白かったので購入した漫画。相変わらずこの人のセンスは微妙にズレてていいですなぁ。内容は、バレー部?のコーチと部員が毎回何かの全国大会を目指しよくわからない様に頑張るというもの。ナンセンスというにはかっちりしすぎている為にどう評価したもんやら(笑)毎回ある程度の話のフォーマットは決まっているのですが、主題が違うだけで全く違う展開になっている。氏なりのマンネリへのアンチテーゼだろうか(たぶん違う)
PLUTO#3/浦沢直樹×手塚治虫
手塚治虫の言わずと知れた作品「鉄腕アトム」より、エピソード「地上最大のロボット」を言わずと知れた浦沢直樹がリアレンジ。元々の作品が完全子供向けだった訳ですが、浦沢氏の手にかかると完全に大人向けの作品に生まれ変わる。この作品に触発されて原本を読んでみた訳ですが、もう別物といっていいでしょう。原本ではスーパロボットそれぞれが人型でありつつも如何にもロボットという造形だった訳ですが、浦沢氏はその中のドイツの刑事ロボット、ゲジヒトを主役に据え、ロボットの殆どを外見では人間と見分けられない程のものと描写(そして、もう日本人はたぶん弄れないであろうと思われていたアトムやウランまでも「いかにも人間」なデザインへと変貌させる)。原本での主題だった「ロボットのアイデンティティ」的な展開を如何にも大人向けのストーリへと消化、昇華させている。二巻が出てからずいぶん経っての刊行ですが、私は2巻の時点でもうベタホメでした。他の浦沢作品はほとんど未読(20世紀少年はいずれ通して読みたいけど)なのですが、これはもうまごう事なき傑作。手塚治虫へのオマージュでは完結できない、独立で評価されて然るべき作品。
こはるびより#2/みづきたけひと
みづき氏の二冊目の単行本。内容的には今流のハーレム漫画と思われがちですが、ヒロインのアンドロイド、ゆいがご主人様、村瀬さんを慕いつつもヲタクカルチュアへ一歩、いや二歩ほど引いた視点で視ている為、只のだらだらいちゃいちゃした展開にはなっておらず、お菓子的な甘さよりもむしろ清涼飲料水的なスッキリした甘さとなっております。巨乳ウェイトレス、みのりちゃんの余りにも報われない村瀬さんへの想いなんかが顕著な例。ハーレム漫画にありがちな、一途を守ろうとしながらも他の子の誘惑に負けてしまいだらだら、ってのが無く、村瀬→ゆいの一途さは最後まで貫徹されている。例えそれがドールマニア的なパラノイアックなものであっても。まぁ兎に角、みづき氏の可愛い絵柄と、テンポが良くキレのいいストーリ、少々毒でさくっと楽しめる一品。
さよなら絶望先生#3/久米田康治
実は久米田作品は今迄全くノータッチだったので(南国アイスホッケーも改蔵も未読)、よく言われる「作品変わってもやってること一緒」という感覚が無く、かなり新鮮に読めてます。ギャグ的にはずいぶんユルいけど、多分に混じっている辛辣な批評が読んでて痛快。トーン密度が比較的薄く、かっちりとして描き込まれている割には煩くない絵もいいですね。ただキモいその他大勢はたぶん久米田氏の持ち味なのでしょうが、もうちょっとヴァラエティに富んでた方がいいかなー、とは想ってしまいます。
新世紀エヴァンゲリオン#10/貞本義行
初刊刊行時はまだリアルタイムだったエヴァも、もう古典となっている感がありますが、貞本エヴァも10巻を数え、とうとう佳境に。古典でありながらも微妙に異なるディテールで楽しませてもらえます。TV版→映画版いづれでも煮え切らなかったエヴァンゲリオンのラスト。果たして貞本氏はどう締めくくるのか?TVアニメ放映時では近未来として描かれていた舞台は2015年。セカンドインパクトの起きた設定の年はもう遥か通り過ぎてしまいました。このままでは近未来譚であった作品が、舞台設定の2015年に追いついてしまいそうです。…まぁあと9年も続く展開ではなさそうなので安心ですが(笑)
絶対可憐チルドレン#4/椎名高志
椎名氏の久々の連載作。と言ってもやはり私は他の作品を未読だったり。故にほぼこの作品が初手。内容は世界最高レベルの超能力を持つ3人の少女とそれを纏める男のドタバタ…なんですが(笑)超能力とは謂えどもシンプルなバトルモノではなく、毎回かなりの応用編を展開させているところは読み応えアリ。キャラも魅力的で、簡単に言ってしまえばマトモな人がほとんどいないのですが(笑)ギャグありシリアスありで全く乖離していないのが凄い。個人的にはテレポータの葵ちゃんが好きですが(笑)敵役の兵部を含め嫌いになるキャラがほとんどいない。憎めない…なのかな。ストーリもテンポ良く、適度に伏線も織り交ぜていますので先の展開がとっても気になる。今後も楽しみな作品。
魔人探偵脳噛ネウロ#5/松井優征
「メジャーは話、マイナーは絵だと思っている」とは私の崇敬する見田竜介先生の言ですが、メジャー誌である週刊少年ジャンプに於いてもひときわ異彩を放つこの漫画。正直絵はあんまりパッとしないのですが、話のレヴェルは極端に高い。センスが良い、と言った方がいいのかも知れない。「探偵」とついているかといえば本格ミステリという訳でもなく、どちらかというとミステリでは反則に位置づけされる。しかしこの漫画に於いて謎解きはさして重要なファクタではなく、最大の魅力は人間模様だと私は思っている。「コナン」や「金田一少年」などの少年向けミステリ漫画に於いて、犯人は大抵の場合やむにやまれず犯罪を犯しているケースが多いが、この作品の犯人は最後まで自分に正直である。「悪人然」としているのである。つまり犯人に対し、犯罪が露見した時点で同情の余地はほぼ無い。同情するとしたならば、それはネウロの制裁の後(笑)ぶっちゃけ、キャラはみんな魅力的だけれど、いい奴はほとんどいない。元サラ金の取立て役のチンピラ、その後探偵事務所の雑用となる吾代がいい奴に見えてしまうくらいで(笑)絵で敬遠してる人は、まだ5巻という揃えやすい今のうちに一読してみるべき。そのうち絵は全然気にならなくなるほど面白い作品。
実はまだあるのですが、多いので後に回します。