RagnaDiary:(060924)

Track01：Intro

こんにちは、はくねです。
先送りにしまくってきた問題ですが、そろそろ書かなければという状況に
なってきましたので今回は述べさせて頂きます。
今年7/20に、ガンホーの社員が逮捕されました。
容疑は不正アクセス。
しかし、実態はもっと深刻で、詳細には、
2005/10〜2006/03/24に渡り、メインサーバへ
59回もの不正アクセスを行い、総額6910億zものゼニーを作成し、
それを私用キャラを通じてRMT(＝RealMoneyTrade)業者へ流し、
現金を得ていたというものです。
なお、6910億zという額はログ追跡により判明した総額であり、
調査開始時点で910億zしか手元に残っておらず、
およそ6000億zは既にRMT業者に売却された模様。
売り上げ額はおよそ1400万円と見積もられており、
殆どは借金返済と遊ぶ金に使用されたという事です。
そして、この行為を行ったのは現職のGM(ゲームマスター)、
それも不正行為監視要員だったという事です。

Track02：考察I

まず、本件により逮捕されたGMにはゼニーを作成する権限はなかったのだが、
権限のある社員のパスワードを無断で使用し、
それを用いて莫大なゼニーデュープを行ったという。
この点でそれ程の権限を易々と行使できる権限の管理の甘さが浮き彫りになる。
作成されたゼニーは各サーバに散らされる形で配布され、
私用キャラを通じてRMT業者に売却された。
サーバによる格差はあるものの、全流通貨幣の6〜17％に及ぶ額である。
無論不正造幣である為、明らかにインフレーションを作る原因になる。
一方、売却された6000億zであるが、朝日コムなどでは実売却額は3000万円に及ぶと言う
言及もなされている。RMT業者は「100万分を80〜90円で買い取り、140〜150円で販売するという(産経)」という
記述からしても、6000億≒1400万円という計算式は信憑性に欠ける。
例え1M＝80円としても4800万円相当である。
(これに関しては、1M=50円とする見解もあり、そうなると朝日の記述の3000万円に釣り合う。
ただし、全額売却されたとは限らず、ゲーム内で使用された額を考慮に入れれば説明はつく、と4.gamers.netは指摘する)
RMTは当然の如く禁則事項である。それはガンホー自体が明言している事である。
それを侵したのが社員、それも不正行為監視要員であるというのが問題である。
判明したのは2006/03/24朝の定期チェックで30億zものゼニーが作成された事に気付き、
そこから立件に至ったとある(4gamers.net)。
しかし、同じく4gamers.netが指摘するように、不正アクセスが行われた期間で日割りすれば
一日当たり46億zを作成しなければ6910億zという額は生み出せない。
不正アクセス59回、不正操作852回にも及ぶ膨大なインフレーションは
飽くまで自分本位、私腹を肥やす為だけの行為であり、到底容認できる事態ではない。
そして、仮にチェックの目を掻い潜ったとしても、5ヶ月に及びこのような
行為を発見できなかったガンホー側にも情状酌量の余地はない。
ただし、ガンホー側の発言通り、現時点でRMTを取り締まる法律は存在せず、
結果として不正アクセスという立件になったのは残念と言わざるを得ない。
ただ、よく考えて欲しい。印紙偽造や貨幣偽造により、元手より莫大な
現金を苦労せず生み出すのと同様の「錬金術的行為」が法的にスルーされて良いものか？
容疑者は実際に、不正アクセスという元手のかからない手段で
宝くじの大当たりに比肩する額を当然の如く作成したのである。
これはRMTという行為に対して配給会社が何のアクションも起こしてこなかった
明確なる結果ではなかろうか。
現在、ほとんど全てのMMORPGに対してRMTの土壌があるという。
Google広告を張っているラグナ関連サイトでは、大抵の場合
RMT業者が表示されている。見たことのある人も多いだろう。
これはGoogle側でページに関するキーワードを抽出し、
それに関連するサイトの広告を表示する為に起こる事態で、
故意的にそれらをカットする処理をしない限り、まず間違いなく表示される。
今回の事件を重く見て、ラグナのRMTから撤退するRMT業者も多いとは言うが、
それでもRMTというものがネットワークゲームに深く根ざしている以上、
法整備がされない限り二の鉄を踏まない保証はない。

RMTがあるが故に跋扈しているのがBOT(自動マクロ)である。
ラグナロクに於いてBOTの出現の歴史は古く、
既にβ時代には存在が確認されている。
しかし、当時のBOTは当然ながらRMTという土壌がないが故に
単純にレベル上げやアイテム狩りの為の行為でした。
しかし、RMTという土壌が出来上がった為、
BOTは一種の「現金稼ぎ」の行為へ変貌。
結果として低級狩場は現金稼ぎBOTが跋扈し、
一方でハイレベル狩場、こと経験値を稼ぎやすい狩場には横殴りBOTが跋扈し、
まともにプレイしているのが馬鹿らしい状況に。
昨年後半にnProtectという不正ツール防御プログラムが適用され、
一時的にBOTは著しく減少したもののそこはいたちごっこでしかなく、
未だにBOTは数多く出回っている。
また、nProtect以下でも使用できるという点だけで
出来の悪いBOTプログラムが跋扈するという悪循環まで起こっている。
(ペットを連れていると追いかけていく、など)
ガンホーは前述のGMのRMT事件によりBOT摘発にようやく積極的になり、
今迄以上にID停止措置が活発になっている。
大抵のBOT使いが複数のIDで活動し、実際にアイテムやゼニーを管理する
IDはBOTと分離するという安全措置を取っていたようだが、
最近はその管理IDをも摘発するという積極振り。
しかしこれは余りに遅きに失しており、結果として
重大な事でも起きないと腰を上げないという腐敗した体勢が露見した形でもある。
今迄、BOT通報はヘルプデスクのトップを毎回独走していたにも関わらず、である。
そして、新たに問題となっているのがゴールドファーマーという概念。
主に中国からのアクセスでBOTが大量投入され、
RMTを通して金銭が大量に外国に流れていく、という事態である。
本来日本サーバは海外からのアクセスを制限しており、
そこに対してBOT、RMTという好き勝手を行うことでの金儲けである。
これは逆に言うと海外からのアクセスも容易であり、
IDもいとも簡単に作成できるというユルさの体現である。
狩りに必要な装備はRMTでゼニーを購入して揃え、
結果として収入はRMTに流れ現金化される。
これは如何にBOTによるRMTの効率が良いか、という表れである。
先日、150万ID達成という事で経験値1.5倍祭りが開催されたが、
果たして普通にプレイしているプレイヤのIDはそのうち何割程度に落ち着くのだろうか。

さて、話をGMのゼニーデュープに戻します。
前述したように、ゲーム内に不正造幣されたゼニーが大量投入され、
当然の如くインフレーションが発生しました。
NPCなどを通じて回収しなければ事態は収束しない、との事で、
緊急に「おもち＆レモン販売NPC」などが設置されました。
しかし、よくよく考えてみれば、これはGMの起こした不祥事の解決を一般プレイヤに
持ちかける行為である。
レモンも餅も有用なアイテムであり、購入希望者は多いだろうけれど、
結局「正直者は馬鹿を見る」という言葉通りの展開である。
4gamers.netは「ユーザーの信頼を木っ端みじんに粉砕して裏切った」と述べているが、
4年以上プレイしている私から言わせてもらえば、
元より信頼など無かったと断言できる。
つまり、既に0だった信頼がマイナスに落ちただけである。
以前、ラグナロ娘の告発記事がゴシップ誌に掲載されて話題となったが、
その中にガンホーは会社ぐるみでBOTやRMTを使用しているという言があった。
これは本件のGMが入社後の話なので、それの裏が取れた、という
実感しかなかった。別の言い方をすれば、隠し切れなくなったとも言える。
事実、逮捕状が出てから逮捕までの間にオフラインミーティングがあり、
その中でRMTやBOTに関する追求があったものの、
本件がまだ表沙汰になっていなかった為に何時も通りのコメントしかしていなかった
辺りから意図的な隠蔽がなされていたのは確実である。