●ちょっと絵のリハビリとして企画モノやってみるテスト。
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ゲイコツナメクジウオ/Asymmetron inferum
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深海生物の中でも、独自のカテゴリを形成する一つ、鯨骨生物群集。文字通り、深海に沈んだ鯨の死骸を中心に発展する独自の生態系です。この群集にのみ見られる生物の多くは死骸から発生するメタンなどを利用する細菌との共生関係にあります。このゲイコツナメクジウオはそういった共生関係を持たない、鯨骨生物群集特有の生物。ナメクジウオは、日本ではこの子を含めて4種が報告されていまして、他の3種はいずれもが浅い海の綺麗な水質でしか生きられません(その為、愛知県蒲郡市三河大島と広島県三原市有竜島は、ナメクジウオの生息地として天然記念物指定されてます)が、この子は何故か腐った鯨の死骸近辺でしか発見されていません。
また、ナメクジウオはウオとつきますが魚ではありません。原索動物、つまりホヤの仲間です。魚とは違い、脳も目も鼻も心臓もありません。しかし、「脊椎動物」という、人間を始めとする現在の生物の中心的カテゴリーの共通点、「脊椎」の元になる組織「脊索」を持っている為、人間、果ては脊椎動物の祖先として考えられています。
そうなると、一つの疑問点が浮上します。脊椎動物の遥か祖先に当たる筈のナメクジウオが、どういう経緯で子孫の系譜に当たる鯨の、それも死骸限定の生物へなってしまったのか。ナメクジウオの原型とも言える、カンブリア生物「ピカイア」の出現の際、当然ながら鯨は存在していません。それならば、現在の他のナメクジウオのように、いい環境で過ごすほうがずっと効率的です。
鯨の死骸を中心とするこの生態系は、鯨の死骸が分解され尽くすと、自然と消滅していきます。そして、また別の死骸を中心に発展するのです。現在では、浜に座礁して死んだ鯨を人為的に沈める事で、擬似的に鯨骨生物群集を作り出すという事も実践されています。ゲイコツナメクジウオの、その余りのアナーキーな生態も、いずれは詳らかになるのでしょうか。

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●拙者の目論見通りというか、結局は貴様自身がやっており本末転倒。しかし一発目のネタとしてはマニアック過ぎではなかろうか。